「死ぬ気で、男一生の仕事として女方をやっています」と語る俳優・篠井英介さん。映画、舞台、テレビドラマで個性的な役柄を見事に演じきる彼が、「自分自身が最も生かされる」と思っているのは女性の役。水谷八重子さん、杉村春子さん、大竹しのぶさんなど名女優が演じてきた舞台「欲望という名の電車」(テネシー・ウィリアムズ作)の主役を、篠井さんはライフワークとして演じ続けている。妖しいまでの輝きを放つ篠井英介さんの美意識は、どこから生まれたのだろうか?
篠井さんは昭和33年、石川県金沢市に生まれた。子どもの五感を、まず雅な古都・金沢という環境が刺激する。日本舞踊を目にしてからは、寝ても覚めても舞い姿が頭から離れず、親に頼み込み、稽古に通った。長男の一風変わった願いを受け入れた両親は、芸の道に全く関係なく、本人曰く、ごく普通の「小市民」だったという。
次の出会いは小学1年の鑑賞会で観た映画「サウンド・オブ・ミュージック」。ジュリー・アンドリュースさんが、少年のハートをつかむ。憧れるのはいつも女性、真似をしたいのも女性だったことから、周囲からは少女趣味と冷やかされる。そんな自分を唯一わかってくれた友人がいた。しかし彼は、家の事情で篠井さんの前から突然姿を消す。6年生になり、再びあの「サウンド・オブ・ミュージック」を団体観賞することになったとき、英介少年は、そのいなくなった友人と一緒に観るつもりで、彼の下駄箱に残されたズックをこっそり鞄に入れて映画を観に行った。
古都・金沢で育まれた篠井さんの美意識、そして、自分の心に「正直に生きる」ことをよすがに、演じ続ける「現代の女方」篠井英介さんのルーツが浮かび上がる。
1月21日(月) ジュリー・アンドリュース
1月22日(火) ライザ・ミネリ
ステージで、スクリーンで、彼女の歌声が響くと、観客のすべてが夢の世界に引き込まれ、誰もがその歌の表現力のとりことなる…。
そんな20世紀を代表する二人のスーパースターがいる。
映画「サウンド・オブ・ミュージック」のマリア役を演じ、その美しい歌声と存在感で人々を魅了したジュリー・アンドリュース。
もう一人は、映画「キャバレー」で明るく奔放で天真爛漫な歌手サリー役でトップスターに上り詰めたライザ・ミネリ。
NHKには、この二人が歌手人生の頂点で偉大な輝きを放ったコンサート映像がハイビジョンで残されている。
1993年にNHKホール開館20周年記念として行われたステージ「サウンド・オブ・オーケストラ ジュリー・アンドリュースmeets アンドレ・プレヴィン」は、ジュリーとN響との共演によるスペシャルコンサートである。
「サウンド・オブ・ミュージック」、「エーデルワイス」、「チム・チム・チェリー」…。
ジュリーは彼女の代表曲のほとんどをこのステージで披露している。
ライザ・ミネリは1995年に来日、このときライザは、彼女にとって唯一となる日本での単独公演「ライザ・ミネリ ライブ・イン・NHKホール ショービジネスの女王」を行った。
「キャバレー」、「ニューヨーク・ニューヨーク」、「クライング」などの代表曲を、フル編成のオーケストラをバックに歌う貴重な映像である。
番組ではこの貴重なライブ映像をもとに構成、現在の活動とスペシャルインタビューも交え、20世紀を代表する二人の女優・歌手の至芸を伝える。