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◇“女王様”がじきじきに映画をアピール
架空の国ジェノヴィアを舞台に、プリンセス・ミアの大活躍を描く『プリティ・プリンセス2/ロイヤル・ウェディング』が、26日より全国公開される。
本作は、タイトルから察しのつく通り、サエない女子高校生ミアが、ジェノヴィアのプリンセスに転身を遂げるまでを描いた『プリティ・プリンセス』(01)の続編。今回は、「30日以内に結婚しないと、王位継承権を失う」と宣告されたミアが、祖母のクラリス女王の協力のもと、理想の結婚相手を見つけようと大奮闘する様が描かれている。
監督はもちろん、前作同様ゲーリー・マーシャル。
そのマーシャル監督とクラリス女王役のジュリー・アンドリュースが作品のプロモーションのためにこのほど来日、都内ホテルで会見が開かれた。
やっぱり、さすが“デイム(英国の叙勲制度で叙勲者に与えられる称号。男性のナイトに相当する)”だわ。優雅な身のこなし、背筋をピンと張った気品あるたたずまい…彼女がこの役を演じなくて一体誰が演じるよ、そう思わずにはいられないほどの輝きに満ちたジュリー・アンドリュース。彼女が舞台に上がるや、一瞬にして、あたりは優雅な雰囲気に包まれた。
アンドリュースといえば、もともとは舞台出身者。演劇界では同じ役を繰り返し演じるのは珍しいことではないが、まさか、映画でもこのクラリスという役を再び演じることになるとは、彼女自身思っていなかっただろう。
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その初めての経験にチャレンジしたいちばんの理由は、「マーシャル監督とまた一緒に仕事ができることが大きな喜びだった」から。
そのアンドリュースが、本作の中でふたつの“サプライズ”を私たちにプレゼントしてくれる。そのひとつは、クラリスが、ミアと各国のプリンセスたちが開くパーティに飛び入り参加し、マットレスに乗ってスロープを滑り下りる“マットレス・サーフィン”のシーン。
マーシャル監督からこの話を聞いたとき、「気でも狂ったの? そんなこと、この年でできるはずないじゃない」と言った彼女も、監督の説得に負け、ついには自分でこなすことを承諾したという。それだけにこのシーンは特に印象に残っているようで、「マットレス・サーフィンのできる女王として、自分を誇りに思っています」とにっこり。
もうひとつのサプライズは、彼女が久しぶりに歌声を披露していること。
「この提案があったとき、キーを私に合わせて歌を作るからと監督に言われ、シンプルな曲ならとオーケーしました。うまくいかなければカットしてもいいというお話でしたし。でも、最終的に使っていただけたのでうれしいです。ただ、みなさんをがっかりさせたくはありませんが、あれは本格的に歌っているとは言えません。ある意味、語りです」
あれで「歌っているとは言えない」「語り」だなんて、やっぱりプロは違う。
ところで、本作のメインテーマは、もちろん、ミアの花婿探し。でも、「年配の人が見ても楽しめるように」(マーシャル監督)、クラリス女王と、ヘクター・エリゾンド扮するボディガード、ジョーのラブロマンスもさりげなく描かれている。
「あの年でロマンス? と思う人はいるでしょう。でも、年齢を重ねても恋は成就すると私は信じている。だからあのエピソードを入れたのです」
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そう語るマーシャル監督だが、どうやら、「(アンドリュースが)これだけ美しい人だからロマンスがあって当然、と付け加えた」というのが本音のよう。
それにしても、『プリティ・ウーマン』(90)にせよ、前作『プリティ・プリンセス』にせよ、どうしてマーシャル監督という人は、ハッピーな物語で女心をくすぐるのがお上手なんでしょう。
「それは、42年間連れ添った妻のおかげです」。そう言って、会場の片隅に座る奥様をさりげなく紹介するマーシャル監督。その奥様ときたら、アンドリュースに引けもとらない素敵な女性。
「男性監督の中には、女性が主人公の映画を撮りたがらない人がいますが、私は大好き。なぜなら、私には2人の姉妹がいて、娘も2人いて、孫娘もいる。女性に囲まれて暮らしていると、彼女たちからいろんなことを学べる。それに私はイタリア系のさそり座の人間。根っからの女好きなんです」
するとすかさず隣に座るアンドリュースから、「彼が女好きで良かったわ」というコメントが。きっとみなさんも同感でしょう。
ちなみに、彼の娘さんのひとり、キャサリン・マーシャルが、クラリスの有能なエグゼクティブ・アシスタント役で出演しているのでチェックしてみてください。
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パート3の予定を尋ねられた監督。
「こういう映画は、客が入ってくれれば3でも4でも作れる」
ファンとしては、なんともうれしいお言葉。どうやら監督の頭の中には、来年あたり、取り掛かる心積もりはあるようだ。
ただ、「3を作るなら猫を2匹キープしておく」のが条件らしい。というのも、今回、当初使おうと思っていた猫はギャラの良い他の仕事に移ってしまい、残った猫が最悪だったようなのだ。
アニマル・トレーナーのみなさん、どうかこのシリーズのファンのために、今から使える猫を2匹育てておいてください。
会見中、アンドリュースが語っているときには、マーシャル監督が微笑みながらその横顔を見つめ、マーシャル監督が身振り手振りを交えてユーモラスに話しているときには、アンドリュースがじっと彼の顔をみつめている。その様子を見ているだけで、2人の間には揺るぎない信頼関係があることが伝わってくる。そんな彼らが作り上げた作品だからこそ、『プリティ・プリンセス2』には、他の作品にはない温もりが感じられるのだろう。
監督が、「日本のプリンセスもご結婚されることだし、ぜひ、みなさんにもこの映画に興味を持っていただきたい」と語る『プリティ・プリンセス2』。みなさんもこれを見て、2005年をハッピーに過ごしていただきたいと思います。(敬称略)【りんたいこ】
作品データ
『プリティ・プリンセス2/ロイヤル・ウェディング』
The Princess Diaries 2: Royal Engagement
26日より日比谷みゆき座他全国にて公開
監督:ゲーリー・マーシャル『プリティ・ウーマン』『フォエバー・フレンズ』
出演:アン・ハサウェイ、ジュリー・アンドリュース、ヘクター・エリゾンド、ヘザー・マタラーゾ
2004年/アメリカ/113分/ブエナ ビスタ配給